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『あの日の海』

夏ですね。

昨日から脇腹の当りに帯状の腫れがあって、なんだか帯状疱疹を疑ってるんですが、まあ、休むことができない状態なのでカブレたのだと思うようにして、数日を誤摩化します(笑。

で。

どこよりも「遅い」歌集の感想です(謝!




「まひる野」っていえば、「かりん」の先輩格の歌誌です。
そこに染野太朗さんという歌人が居ます。『あの日の海』は、その染野さんの第一歌集です。

派手な歌集ではありません。楽しい歌が並んでいるのではありません。笑える歌が沢山あるのでもありません。
けれど多分、「表現する」という心に満ちた歌集です。近代以来の「個人」が発する短歌の源の、これは、正統に根差した歌集なんだと思います。

読みながら、読者は「われ・僕」の心に沿って=添っていくことになります。
一人称の文学の青春後期から成年期にかけての作品なんだと思います。

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世界という語に溺るればゆうぞらににきびのようなひつじ雲見ゆ
プルタブを持ちあげたとき潮騒に消えゆく君の嗚咽を聞いた
ポトス一鉢育てはじめつだれひとりぼくを拒まぬ夏の終りに
肺胞に届けばやがて雪よりもしろい根を張るチョークの粉か
祖語をたぐるようだ 生徒と話すとき何を恥ずかしがるか知りたい
鉛筆を持たぬ左の手がどれもパンのようなり追試始まる
皆が皆を監視する夕固茹でのパスタにオリーブオイルを垂らす
ぼくは痩せ友は太った 体重が落ちつく頃に終らん若さは
性欲にいちばん遠いところにて泡立つ職員会議と思う
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
唐突に湯は沸き立てるペンギンの死骸のような電気ケトルに
やりすぎたとぼんやり思うあかときを何をやりすぎたかわからぬが
吉野家の豚丼にそっと添えられて兵士の眼冷えきっており
パキシルを飲み継ぐぼくにこの夏も子は欲しいかと問う人もなし
シロウオのような怒りだ生かしたるままに呑めよと医師の呟く
休職を告げれば島田修三は「見ろ、見て詠え」低く励ます
東京に降る雪よりもあっけなくぼくの不安は新薬に消ゆ
うす暗き相談室を訪ねれば床に散らばる箱庭の砂
小松菜が野菜室にて立っている妻の帰らぬ土曜の夜を
「豚バラ」で二十首くらい詠めば? って皿洗いつつ妻が呟く

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ね。しんしんと沁みる感じですよね。僕も(かつて少しは純粋だった)青年期を思い出します。

是非、一度読んでみて下さい。
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